もう一つの Reading & Writing のクラスの様子を掲載します。

クラス内の生徒はサウジ・アラビア出身者が6人と多く,チリ,コロンビアなどの南米出身者,中国,韓国などのアジア出身者と我々日本人の3人の15人です。
9時からの授業の前半はリーディングの授業,後半はライティングの授業といった感じで進んでいきます。
リーディングではテキスト中心に進みます。読む話題(竜巻)についての導入が丁寧に行われ,全員がテキストを読み進められれるように準備します。途中語句の説明のためにしばしば時間がとられます。ボランティアの生徒がテキストを音読しながら,必要に応じて説明が加えられ,最後は10問の正誤問題で内容の確認をします。

プロシージャーは日本の高校などで行われているリーディングの授業とそれほど違いはありませんが,語句や内容を説明するためにインストラクターが発する英語の量と質が際立ちます。テキストを扱いながら,その内容に対してより多くのインプットが与えられ,そのインプットは生徒たちの理解を混乱させるものではなく,まさに理解を助け,促進させるものになっています。また,インストラクターの発する英語に対して,常に数人の生徒(特に南米系の男子(男性?))が必ず反応し,そのインタラクションも全体のインプットの一部になっています。通常インストラクターが発する英語はかなりナチュラル・スピードに近いものですが,生徒が反応することで,時として自然にスローダウンするので,それが生徒の聞き取り(理解)を助けている場面も多く見受けられます。
特別な手法を用いることなく,生徒にとって豊富なインプットを提示しながら,インタラクティブな授業を展開する模範を見ているような授業でした。

ライティングでは,前回の授業で書いた英文が添削されて返却され,それをコンピュータでタイピングする作業です。生徒一人一人にそれぞれの文章の訂正すべきところを丁寧に説明しているインストラクターの姿が印象的でした。単純な文法的誤りの指摘だけではなく,パラグラフの論理展開にまで言及した指摘がなされ,生徒たちも納得するまで質問するなど,ここでも作文を通したインタラクションが成立しています。

ランチは午後のアクティビティーの場所でもある "Peterbrooke Chocolatier" です。ピザで腹ごしらえをした後,その店のアイスが振舞われます。

その後は,厨房に入りチョコレート作り。熱して液体状になったチョコレートの甘い香りに包まれながら作業をします。インストラクター(店員さん)の指示に従い,4種類のキャンディーを作りました。

袋詰めからラッピングまで,まるでプロの出来栄えです。ホスト・ファミリーへのすばらしいお土産の出来上がり。
少し予定よりも早く終了したので,近くの "Super Target" でのショッピングが予定に追加されました。それぞれ,満足のいくショッピングができた様子です?!
最後に,滞在日数が残り数日になった今,彼女たちがどのように感じているか,感想を掲載します。
「ELIの授業では,校舎内で英語で道を尋ねるなど,さまざまなことを英語を使って体験しました。それらの体験を通して,他の国から来た留学生とも仲が深まったと思います。クラスのみんなは "facebook" をしていて,その話題になると話が盛り上がったりしました。
ELIでの授業は明日で最後です。もっとここで勉強したいと思います。アメリカに来て本当に良かったと思います。毎日,いろいろな所に連れて行ってもらって,いろいろな食べ物を食べさせてもらって,こんなに良い授業を受けさせてもらって,最高です。
このままここにいたい気分です。日本に帰りたくない。」(Y.I.)
「・・・他の国の人と英語の授業を受けてみて,日本人はリーディングとライティングは得意ですが,スピーキングとリスニングは他の国の人のほうが上手だということに気がつきました。リスニングとスピーキングは特にやらないと!!あと約3日です。吸収できることはすべて吸収して,日本に帰りたいと思います。」(M.S.)
「19日間はすごく長いのだろうなと思いながら日本を離れてもう15日目を過ぎています。この2週間は本当に短い2週間でした。今回はホームステイということで,2件のお宅にお世話になりましたが,どちらのお宅にも感謝しきれないほど,良くして頂きました。私は兄弟がいないので,ホスト・シスターやホスト・ブラザーは年齢も近いこともあって,本当の兄弟のように過ごすことができたと思います。
ELIの授業は,初日には「なんでこんなところに来たのだろう・・・絶対に分からない!無理!」と何度も思い,ELIに行くのが少し嫌でした。しかし,2週間いると,最初とは違う気持ちになっています。最初の不安も1日,2日,3日・・・と過ぎていくうちに,完璧ではないですが,先生が何を伝えようとしているのか,今クラスでは何をすべきなのかを,知らない単語があってもちゃんと理解できるようになりました。もちろん,クラスメートがフォローしてくれるお陰もあります。
授業中のディスカッションでは,南米系の人がすごく反応が速いので,アジア系の人はなかなか発言しにくいと感じることもありましたが,今では普通に自分も発言できるようになりました。この2週間(たった2週間!!)でこれだけ英語が分かるようになって,授業にもついていけたということは,6週間のカリキュラムで勉強するクラスメートは本当に成長して母国に帰れるんだろうなぁと思いました。」(M.K.)
「今日の授業はとても刺激的でした。ライティングのクラスではテストがあり,その課題は「3つのトピックから一つ選び,そのトピックについて3つの段落に分けて書く」というものです。私が選んだのは「あなたはにおいをどのように感じているか。」というものです。
指示通りに3つの段落に分けて書いて,提出しました。先生からは「内容が薄い」と言われ,何度も書き直しました。書きたいことはたくさんあるのですが,辞書を使ってはいけないことになっているので,書けることが限られてしまい,自分の思うようには書くことができませんでした。まだまだ,自分は甘いなと感じました。」(Y.T.)
明日でELIの授業も最後です。インターナショナルなクラスでの何を感じ,何を学び,何を日本へ持ち帰るか・・・今の国際社会のキー・ワードである「共生・共存」を直接肌で感じてもらえれば,今回の研修は大成功だと思います。